近頃の福山附属

同級生でもある、佐藤事務局長から「また会報に原稿を書いてくれ」と頼まれた。同級生の校長という気安さから私にお鉢が回ってきたのだろう(しかし、できればいろんな人が関わってくれるとうれしい)。「安請け合い」したのはいいが、「福山附属の近況」というお題は実は結構むずかしい。誰にとっての「近況」なのか悩んでしまった。SGHやWWLの話は、二十代にとっては目新しい話ではないけれど、三十代以上の方々にとっては「何、それ?」だろうし、コロナ禍での附属の動向については、二十代の読者にとっては「近況」として知りたいところであろう。と、いうことでどこまで皆さまの興味を惹くところか分かりませんが、とりあえず思いつくまま書き連ねてみたい。
まずは、その「コロナ禍」について。2年前のこの会報にも挨拶がてら、「コロナ禍での校長としての苦悩」について書かせてもらった。オリーブ祭(昔の「新入生歓迎会」)終了後、5月末までの県立高校の休校に合わせて、本校も休校したため6年生にとっての最後のメインイベントの「体育祭」が吹っ飛んでしまった。しかし、それ以外の学校行事はほぼ遂行できたと思う。本学の他の附属が自粛気味な中、本校では、生徒が「いかに三密を避けて行事を行うか」と知恵を絞ったのと、本校教諭たちの「安易に中止するのではなく、制限がある中でも最大限思いを遂げる方法を考えさせる」という姿勢の結実だと思う。進学実績だけではなく、こういった本校の姿が、一卒業生としても、校長としても、母校を「誇り」に思わせる。
さて、その「進学実績」であるが、昨年度の入試では、東京大学10名、京都大学9名、大阪大学19名、北海道大学5名、名古屋大学1名、九州大学15名で旧帝大系で60名近く。一学年約200人でこれだけの人数が旧帝大。早稲田、慶応が9名ずつ。これに国公立医学部を入れると、難関大学におよそ卒業生の半数が進学することになる。また、医学部・医学科に進学した者も31名。32回生にはどれくらいいるのかははっきりとは分からないが、同窓生にこんなに医者がいていいんだろうか?ちなみに私の中学校の同級生には医者は一人もいない。中でも特筆なのが、広大のふるさと枠で4名が合格。岡大医の推薦も2名(ただしいずれも非岡山県枠)。ちなみに、広大の学長からは、「優秀な人材をぜひ送ってほしい」と言われているが、今年度は初めて、広大進学者31名、岡大19名で岡大を上回った。医学部・医学科の進学者でも広大6、岡大7でこれまで大きく引き離されていたのが、今年度は肉迫。地理的には不利にもかかわらず、広島大学への進学者が多いのはうれしい(でも、あまり広島大学の中でおかしなことはできないなと今更ながら気を引き締める)。
広島大学の進学者が増えた理由の一つとして、考えられるのが広島大学との連携を深めたこと。本校の高校生が広島大学の集中講義を学生とともに受けて、大学の単位も取れるアドバンスプレースメントへの参加。大学が公開している「名講義100選」を事前に視聴し、その講師と質疑応答をする「名講義100選」シリーズ。その他にも数年前から始めている3年生の「広大遠足」。その広大遠足では、本校の27回生の医学部教授の坂口剛正教授に、広島大学の医学部についてご講演してもらっている。生徒にはもちろん自分の将来をしっかりと考えてそれに見合った進路を選んでほしいと思うが、広島や広島大学についての情報が不足しているだけであるなら、きちんと「広島大学(あるいは広島)で何ができるのか」ということだけは伝えておく責任があるかと思う。
この他にもいろいろと皆さま方に報告すべきことはあるかと(例えば、ご寄付いただいた梶山初枝さんの遺品関係)思いますが、残りはスクールブログ(https://fukuyama.hiroshima-u.ac.jp/blog/cafe/)を時々覗いてもらえればと思います。
(32回生 清水欽也)